このブログでは、店主が約10年間バリスタ大会の審査員として活動してきた中で、これからの未来あるバリスタの背中を押すきっかけになればとの思いから、日常の店舗運営と大会の両面での視点から綴っていきたいと思います。
多くのバリスタから
「大会は特別だから」
「普段の店舗とは違う」
「ハードル高すぎ」
など、近年のバリスタ大会のレベルの高さから及び腰になる声を多数お聞きします。確かに大会に出ること、そして上位に行くことは近年の日本のレベルの高さを考慮すると決して簡単ではありません。
ただし、大会に出ることと、その過程で得る学びは必ずや普段のバリスタ業務や、将来の開業などに大きな資産になるものだと断言します。なぜなら大会のルールが店舗運営をベースに考えられており、その内容を深く理解し実践することで
店舗運営、経営、自身の強み弱み、など多くの視点で客観的に自分を見つめ直すきっかけになるからです。
ここで先にお断りしておきます。
ここに記載している内容は、あくまで店主個人の見解であり、個別の競技会、主催団体や審査員としての立場、見解ではありません。この点はご理解くださいませ。
お読みいただく主な対象は
・バリスタを職業として志す方
・バリスタとして働いているが、もっと深く学んでみたい方
・バリスタ大会にチャレンジしたい方
・バリスタ大会にチャレンジしたけど思うような結果にならなかった方
を対象にしています。
ではここからWorld Barista Championship Official Rules and Regulations (以下WBC R&R)の流れに沿って私なりの解釈を綴りたいと思います。
ルール規約は以下のリンクから誰でも閲覧できますので、興味のあるかたはご覧ください
https://worldbaristachampionship.org/rules/
第一回目はテクニカルシートの一番上
Clean workingarea at start-up Cleancloths
(開始時の作業場は清潔か ,クロスは衛生的で清潔か)について
ここでは競技開始前にどのような準備が必要なのかが重要になっています。これは大会に参加することの重要性だけではなく、大会のルールが普段の店舗業務匂いてのバリスタ業務に活かされる内容であることから、WBC R&R をその下にJBC R&Rを記載してに見ていきたいと思います。R&R では以下のように1~6の項目が記載されています。
- The cleanliness and organization of the competitor’s work station (work table, prep table, top of machine) will be evaluated on a scale between 1 and 6. If the area is deemed messy, a “1” will be recorded.
競技者の作業エリアの清潔さと整然としているか(ワークテーブル、プレゼンテーションテーブル、エスプレッソマシン上部)を 1 点から 6 点にて、評価します。もし、作業エリアが散らかっていたら、1 点が与えられるでしょう。
パッと読むと当たり前のことが書いてある気がしますよね。この一見すると当たり前のことを当たり前にできることが、トップバリスタへの道なのだと思います。
2.Verify the competitor’s ability to organize the working area in a practical and efficient way.2.作業エリアが実践的で、効果的に整頓されているかという競技者の能力を確かめます。
これも1.と同じ内容です。
3.Over preparation should be marked down (i.e. milk in the pitchers, pre-poured water in the water glasses, etc.)
3.過剰準備は減点対象です。(例えばミルクピッチャーにミルクが注がれていたり、お水グラスに水が事前に注がれていたり。)
これも言葉の意味をそのまま理解していただければ良いと思います。
4.A minimum of three clean cloths should be available when the performance time starts. The cloths must be clean and have a designated purpose (i.e. one for the steam wand, one for drying/cleaning baskets, one for bar clean up. A towel on the competitor’s apron/person for one of these uses is included in this count.)
4.競技開始時に最低3枚の清潔なクロスを準備してください。クロスは清潔で、それぞれに役割が割り振られていること。(例えば、一枚は、スチームワンド用、この一枚は、フィルターバスケットの清掃・乾燥用、一枚は、エスプレッソマシンテーブルを清潔に保つためなど。競技者のエプロンにつけられたクロスも 1 枚と数えます。)
ここではクロスの枚数と役割について記載されています。
最低限の用途に加えて、予備のクロスも必要ですね。ただし過度な準備はコストを考えるとよくないですよね
5.there should be no water in the cups at the start of the competitor’s competition time. If there is any water in the cups on top of the espresso machine at any time, the competitor will receive a score of zero for “Station management/Clean working area at end.”
5.競技開始時に、カップの中にお水/お湯などが入っていないようにしてください。もし、いかなる時であってもエスプレッソマシンの上部に液体が入ったカップなどがあった場合、(「作業ステーションの管理能力/競技終了時の作業場の清潔さ」)2つの テクニカルスコアシートとも 0 点となります。
ここの項目は年度によって若干のルール変更がある部分です、考え方として店舗運営、安全管理面の視点から考えてみると理解しやすいのではないでしょうか
6.Competitors may have pucks (used coffee grounds) in the portafilters at the start of their competition time. This will not count against “Clean working area at start-up/Clean cloths.”
6.競技開始時に、ポルタフィルター内にコーヒーパック(ケーキ)が入っていても構いません。この項目では、減点されません。
このコーヒーパックについて、以前は原点対象になることもあったようですが、ここも店舗運営の視点から考えた場合には、コーヒーパックが残っていることが普通なのはご理解いただけると思います。
いかがでしたでしょうか
まとめると私は以下のようにこの項目をイメージしています
①例えば綺麗なカフェをイメージしてみてください。
②そのカフェのマシン周辺を写真で撮ってみたことを想像してみてください
③その写真が、作業場全体の配置も色彩もデザインも綺麗で、整理整頓されていたら ...Extra Ordinary !
日々の営業でもそんな状態を目指したいものですね。
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